屋外メダカの冬越しに有利と言われる「深め容器」
- 水量を確保しやすい
- 水温変化が緩やか
- 底まで凍結しづらい
といった理由からです。
しかし、きちんと水温を測って、その真偽を確かめた情報は見当たりませんでした。
冬の間、水温を計測を続けてみて、意外な発見があったので情報共有いたします。
深い容器だと底が一番冷たくなるのでは?
お風呂に入ったとき、底が冷たくて「ヒヤッ」とした経験ありませんか?
その理由は、同じ水でも温度の違いによって重さが変化するから。
- 水は温められると ➝ 軽くなる
- 水は冷やされると ➝ 重くなる
水の温度と重さの関係性について、わかりやすい実験があります
温かい水と冷たい水の重さ:NHK for School

だとすると、深め容器は底にいくほど冷たくなってしまい、冬越しするメダカにとって、必ずしも良い環境とは言い切れないのでは?
しかし、冬場に深め容器の水温を測ってみた結果、おおむね底の方が温かい状況でした。







冷たい水は底に沈むはずなのに、何でだろう?
水は3.98℃より冷たくなると、逆に軽くなる
水の温度と重さの関係性はこちらでした
- 水は温められると ➝ 軽くなる
- 水は冷やされると ➝ 重くなる
しかし、水温3.98℃をさかいに、この関係性は逆転します。
3.98℃よりもさらに冷やされると ➝ 逆に、水は軽くなっていく
その理由は、3.98℃よりも冷やされると、水の密度が小さくなっていくから。


液体の水とくらべ、固体の氷の密度が小さいことは、上の図からご確認いただけます。



だから、氷は水に浮くんだね!
水は冷やされると重くなるものの、3.98℃を超えて冷やされると、逆に軽くなっていきます。



凍結するような日には、3.98℃に冷やされた水が底に溜まって、メダカを守ってくれそうだね!
屋外メダカの水が凍結した日に、水温を計測した結果がこちら







確かに、タライの底の方は、3.98℃に近い水温3.0℃だったよ!
このような知識も踏まえ、冬場の屋外メダカにおける、深め容器の水温結果をご覧ください。
屋外メダカの冬越しに使用したのは60Lタライ
深め容器として使用したのは、カインズの60Lタライ。




高さ34cm、水を張ったときの水深は30cmほど。
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実験に関し、その他の条件はこちらになります
- タライを置いたのはマンションのベランダ
- コンクリートに直置き
- ベランダの方角は北北東
- 直射日光が差すのは早朝2~3時間だけ
- 海辺のため強い風が吹く日がある
60Lタライには、紅灯の種親・越冬組を5匹入れました。




水温計測するのは、HATUSOKU 外部センサー付きデジタル温度計。


温度センサーのコードが長いので、深い容器の底まで沈められて便利。



知りたい期間の最低・最高水温も計測できる優れものだよ!
冬の間、60Lタライの水面と底の水温計測を続けた結果
実験を開始したのは12月中旬。


福岡にも本格的な冬が到来しました。
水温計を2つ用いて、タライの水面と底に温度センサーを設置。


冬の間、何度も水温を確認しながら、その違いを確かめていきます。
12月17日


タライの飼育水をすべて水換えした直後の様子


底(左側)も水面(右側)も、ほぼ同じ水温からのスタート。


この日の夜間に確認してみると、底も水面も11.3℃でした。




12月18日


翌日のお昼どき。
少しだけ水温差が生じていました。


水面の水温にくらべ、底の水温が0.3℃温かい状況。
ちなみに、この日の気温はこんな感じ


タライの水温は、やはり外気温に影響されています。



冷たい水は底に沈むはずなのに、水面より、タライの底の方が温かいんだよね…
12月19日
さらに翌日の早朝。


60Lタライの紅灯は、底でじーとしています。


夜間から朝にかけて雨が降ったようです。


昨日と同じく、水面よりも、底の水温が0.3℃温かい状況。



翌日以降も、底の方が0.3℃ほど温かい状況が続いたよ!
2月4日


冷え込みが厳しく、うっすら降雪していました。


遅ればせながら…


紅灯ちゃんたちが、寒さをしのぐための柿の葉を投入。
さすがに水温も低下してきました。




水面の水温にくらべ、底の水温が0.6℃温かい状況。
2日6日


ついに、屋外メダカの水が凍結。


しかし、60Lタライは大丈夫でした。


水面の水温2.4℃に対し、底の水温は4.3℃。


深め容器が、ようやく本領を発揮し始めた感じ。



水温が低下すると、体温まで低下してしまうメダカにとって、1.9℃の差は大きいと思うよ!
2日7日


本日もこんな状況。


この日も、60Lタライは凍結していませんでした。


水面の水温2.3℃に対し、底の水温は5.9℃。


水面より、底の水温が2.6℃も上回っている状況。
2日8日


ついに…


60Lタライも凍結してしまいました。
氷の厚さは1㎝ほど。





水は0℃以下で氷るから、タライの水面が0℃以下に冷やされた証拠だね!
タライの水面に氷が張った状態で、水面の水温1.4℃に対し、底の水温は3.0℃。


水が一番重くなる3.98℃を超えて、タライ全体が冷やされたようです。



3.98℃に冷やされた水から底に沈んでいき、さらに冷やされた結果、底の水が3℃になったんじゃないかな…
深め容器は「水温変化が緩やか」かどうか確認してみた
小さな容器の水温も計測して、60Lタライと比較してみました。
NVBOX22との水温差を比較
60Lタライの水温を確認した直後…


60Lタライの目の前に置いてあるNVBOX22の水温を計測。


この時間帯、より直射日光が差すのはNVBOX22の方です。
しかしながら、60Lタライの水面の水温6℃に対し、NVBOX22の水温は4.7℃。



60Lタライの底の水温は6.3℃だったので、NVBOX22との水温差は1.6℃と大きいね!
4L容器との水温差を比較
60Lタライのすぐ近くに、ミジンコを入れた4L容器があります。




1月1日・午前7時52分に、2つの容器の水温を計測してみました。


60Lタライの水温6.4℃に対し、4L容器の水温4.8℃。


60Lタライの水温が、4L容器を1.6℃上回る状況でした。
【考察】冬の間に水温計測を続けた結果
冬の屋外メダカに深め容器を使用するメリットとして、
- 全体的に水温を低下させづらい
- 底の水温を温かめにキープしやすい
- 凍結するような寒い日ほど水温的に有利
だと言えそうです。
水は温まりにくいぶん、冷めにくい性質であるため、水温低下が進むシーンでは、水量の多さは確実にアドバンテージとなるでしょう。



より大量の水を沸かす方が大変なように、夏場の暑さ対策においても、水量の多さはアドバンテージになるはずだよ!
水の性質上、3.98℃より冷やされた水は軽くなります。



水深があるほど、底に潜むメダカから、冷たい水を遠ざけてくれるんじゃないかな!
ただし、今回の経験で感じたのは「水の動き」の複雑さ。



そのような水の動きをもたらすのが、気温であり「水温」なんだよね…
冷やされた水は重くなるため、水面より、底の水温の方が低くなるはずなのに、現実は違っていました。



その理由はハッキリしないけど、底に沈んでいく冷たい水以上に、水面が冷やされるからだと思うよ
湖などでも、同じような状況が発生するようです。
夏になると、表面が暖かく湖底は冷たい水になり、密度的には安定な状態になるが(この状態を成層するという)、秋になると、表面温度が下がるため垂直方向の温度分布が変わり、水の対流が起こる。 引用:四季による湖水の温度変化(文部科学省)
60Lタライの水が冷やされた要因として、以下が考えられます。
- 冷たい空気に直接触れる「水面」
- 深め容器では面積が大きくなりがちな「側面」
- 冷たいコンクリートに触れる「底面」
さらに、日照条件・風の有無などによっても、水の冷やされ具体は違ってくるでしょう。



そう考えると、人それぞれの置かれた環境・その日の気象条件などで、水温条件がまるで違ってくるかも…
今回の結果が、あなたの飼育環境においても、同じになるとは限らないのでご注意ください。
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【最後に】深め容器は水温的にどれほど有利か?
屋外メダカの環境は人それぞれ。
だからこそ、一度は数値できちんと「見える化」して、ご自分の状況を把握しておくのがおすすめです。
水温状況を知るならこちら



一度でも数値で確認しておくと、その後のメダカ飼育がグッと楽になるよ!