真夏日が続くとはいえ9月も下旬、そろそろ朝晩の冷え込みが気になり始めた矢先。
8℃以上冷え込んだ翌日、メダカに水カビ病が発生!
瀕死の状態から完治した塩浴&薬浴の全ステップを、実録・画像付きでご紹介いたします。
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治療する前の水カビ病のメダカ【動画】
水カビ病を発症した当時、どのような状態だったか動画でご覧ください
右側の胸ビレをほとんど動かせずに、上手く泳げない状態。
浮かび上がってくることから、お腹にガスも溜まっているようです。
メダカの「水カビ病」とはこんな病気
水カビ病の原因は、メダカの飼育水に存在するカビ。
※カビ=真菌の一種
真菌とは?
酵母・糸状菌(いわゆるカビ)・キノコなどの総称
メダカの体表に傷がついたり、急激な水温低下で弱ったりしたとき、このカビが「水カビ病」を引き起こします。
白い綿のような水カビが、メダカのヒレ・エラ・傷口に付着するよ
水カビ病は別の病気から二次的に発生することも【画像付き】
「穴あき病」や「尾ぐされ病」の患部に、綿のような水カビが現れることもしばしば。
- 穴あき病
傷口がエロモナス菌に感染して、血がにじんだような箇所が現れる - 尾ぐされ病
ヒレがカラムナリス菌に感染して、先っぽが白く濁り始める
エロモナス菌・カラムナリス菌とは?
細菌の一種
水カビ病の原因である真菌(カビ)と、穴あき病・尾ぐされ病の原因である細菌とは、まったく別モノ
メダカが発症した病気によって治療薬が異なるのは、原因となる菌が違っているから。
水カビ病になったメダカを治療するとき、別の病気のことも少し知っておくと役立つよ!
ちなみに、メダカに病気を発症させる原因は大きく3つ。
- 真菌(水カビ病など)
- 細菌(穴あき病・尾ぐされ病など)
- 寄生虫(白点病・エラ病など)
寄生虫による病気とは?
白点病:白点虫が体表に寄生
エラ病:繊毛虫などがエラに寄生(細菌が引き起こすことも)
お薬を選ぶときのざっくりとした目安
病名 | 原因 | お薬 |
水カビ病 | カビ(真菌) | メチレンブルー |
穴あき病 | エロモナス(細菌) | グリーンFゴールド |
尾ぐされ病 | カラムナリス(細菌) | グリーンFゴールド |
白点病 | 白点虫(寄生虫) | メチレンブルー |
エラ病 | 繊毛虫(寄生虫)や細菌 | グリーンFゴールドなど |
以下は、水カビ病を発症したメダカの画像です
「穴あき病」と思われる、血がにじんだような箇所
「尾ぐされ病」を発症した箇所。
エラやヒレには、白い綿状の水カビも付着しています。
水カビ病を発症したとき、別の病気も発症していることが多いので、よく観察してみてください。
メダカの病気の多くは他の個体にもうつるため、一刻も早く隔離治療した方がいいよ!
水カビ病のメダカを塩浴&薬浴で治療してみた
メダカに水カビ病が発症した当初から、完治するまでを順を追ってご紹介いたします。
1.屋外飼育のメダカに水カビ病が発生!
真夏日が続くとはいえ9月も下旬、朝晩の冷え込みが気になり始めました。
メダカの屋外容器に最低・最高水温を計測できる水温計を設置。
ここ2日ほどの間に、8℃近くの水温差が生じていました。
この水温計が一つあるだけでメッチャ便利
浮かべるタイプも使っていますが、計測できるのは水面付近の温度。
しかし、メダカが越冬するにあたり、重要になるのは容器の底の水温。
物陰に潜んで、しばらく見かけなかったメダカ(紅灯)ちゃん。
なっ…、なっんと、水カビ病を発症しているではありませんか!
プラケースに移して詳しく観察。
体のいたるところに水カビが付着して、ほとんど泳げない状態。
それに「穴あき病」や「尾ぐされ病」まで…
他のメダカも確認したところ、水カビ病を発症しているのは、この一匹だけでした。
日頃からこまめに換水していたので、水質が直接的な原因ではなく、急激な水温低下の影響が大きそう
早急な隔離治療が必要な状況です。
メダカの病気を早期発見できたのはこの水温計のお陰です
2.小さな容器に隔離しての塩浴
水カビ病の症状が重かったので、今回は塩浴に薬浴を併用することにしました。
- 塩浴の主な目的:メダカの体力温存
- 薬浴の主な目的:原因となる菌・カビ・虫を退治
メダカに負担をかけないよう、まずは「塩浴」から開始。
塩浴を始めるにあたり用意したのがこちら
- 岩塩
- 小さな容器
- ヒーター
- エアレーション
百均で購入した小さな容器に、3Lの水を張りました。
使用した水は、病気を発症したメダカの飼育容器からすくった水。
元の飼育水を使った理由がこちら
- 飼育水自体に問題があるとは思えなかった
- 水質変化による負担をかけたくなかった
ヒーターとエアレーションを設置。
エアレーションすることで、酸欠を気にすることなく、小さな容器での塩浴・薬浴が可能となります。
小さな容器で塩浴・薬浴すると、塩や薬剤も少量で済むんだよね!
塩浴・薬浴を水換えしながら一週間も続けると、思った以上に塩・薬剤が必要となり、そのぶん費用もかかるので注意してください!
3.塩分濃度0.5%の水をつくる
3Lの水を塩分濃度0.5%にするには、15gの塩が必要になります。
重量をデジタルで細かく計れて便利です
5年以上使ってますが、電池も長持ちするし、まったくヘコたれません。
病気のメダカを移す前に水温チェック。
水カビ病は20℃以下で進行が早まり、25℃くらいから活性が下がるそうです。
塩浴中は25℃以上をキープしたいところ
水温が問題ないことを確認した上で、水カビ病のメダカを移します。
この時点では、元の飼育水を使っているので、メダカにほとんど負担ないはずたよ!
10分間隔で、15gの岩塩を3回に分けて投入。
岩塩はゆっくり溶けますが、より緩やかな水質変化となるよう配慮しました。
すべての岩塩を投入し終わったあと、容器を屋内へ移動。
朝晩の気温差が大きくなりつつある屋外は避けました。
これで水カビ病の治療1日目を終えたよ
塩浴における塩の量の計算方法など詳しく解説
4.塩浴と併用してメチレンブルーも投入
2日目
一日の塩浴で、メダカのエラに付着していた水カビが剥がれ落ちていました。
塩がもたらす浸透圧によって、水カビが死滅したものと思われます。
浸透圧とは?
薄い液から濃い液のほうへ、境にある半透膜を通って溶媒が移っていくときに生じる圧力。浸透圧は、両方の液の濃度の差さに比例する
引用:キッズネット
ナメクジに塩をかけると、体内の水分を塩に奪われてシボんじゃうよね。あの現象が浸透圧だよ!
メダカの体内の塩分濃度は水よりも濃いため、体内に吸収した不要な水分を常に排出しなければならず、この負担を軽くしてやるのが「塩浴」です。
飼育水をメダカの体内の塩分濃度に近づけてあげるんだね!
この浸透圧によって、カビや細菌が死滅するという副次効果もあるようです。
メダカの状態を確認したあと、新たな容器に2Lの水を用意。
この水はカルキ抜きした新水です。
一晩おいて、メダカが塩分濃度の高い水にも慣れたはずなので、ここから新水を使い始めたよ!
2Lの水に対し10gの岩塩を投入し、塩分濃度0.5%の水をつくります。
水換えで塩分濃度が下がってしまうと、治療効果がなくなってしまうから、新しい水にも必ず塩を添加してね!
さらにメチレンブルーを2滴ほど。
メチレンブルー1滴は0.05mlと認識しているよ
塩浴が効果的だったのと、メダカの負担を考慮して、メチレン水は薄めにしました。
通常のメチレン水の濃度は?
商品説明では、40~80Lの水に対しメチレンブルー10mlと表記
追記
初めてのメチレンブルーはドキドキしますが、針子でも大丈夫なお薬です。
病気になったメダカがいる場合、メチレンブルーの適用症状であれば、ためらわず使用してください。
病気になってからでは手遅れなので、1本ストックしておくのが絶対おすすめ!
塩分濃度0.5%のメチレン水の出来上がり。
このメチレン水を加えていくため、塩浴中のメダカの水を2L排出します。
つまり、2/3ほど水換えすることになります。
10分間隔、3回に分けてメチレン水を加えていきました。
数回に分けてメチレン水を加えていくことで、塩浴に慣れたばかりのメダカの負担を軽減できるよ!
0.5%の塩分濃度をキープしつつ、メチレンブルーによる薬浴もスタート。
メチレンブルーは紫外線で分解され、効果が弱まるので、日光のとどかない屋内での薬浴がおすすめです。
翌日以降も、塩分濃度0.5%のメチレン水をつくって、10分間隔で3回にわけて2/3の水換えを続けたよ!
5.水カビ病で瀕死の状態のメダカが回復傾向に
3日目
調子が上向いてきたので、試しに数粒だけ餌を与えてみることに。
食欲も戻ってきたようです。
ただし、大量に餌を与えるのはNGだよ!
消化に体力を使わないよう、水質が悪化しないよう、ほんの数粒にとどめました。
5日目
プラケースに移して、メダカの状態を詳しく観察。
穴あき病やエラの水カビは、ほとんど消失していました。
しかし、腹ビレの先端は白く濁っているのが気になります。
同品種の健康なメダカの腹ビレも、先端は少し白っぽいのですが、念のためもう2日ほど塩浴&薬浴を続けます。
3日目以降は、水質を悪化させない程度に、ほんの少しだけ餌を与えているよ!
現状におけるメダカの状態がこちら
6.水カビ病をはじめ、穴あき病・尾ぐされ病も完治
8日目(7日間の塩浴&薬浴を終えた翌日)
7日間にわたり塩浴&薬浴した結果、水カビ病をはじめ、穴あき病・尾ぐされ病も完治。
腹ビレの先端が少し裂けているのは、尾ぐされ病の後遺症と思われます。
ヒレの裂けについては、今後の回復を期待したいところ
メダカの塩浴&薬浴からの戻し方
水カビ病などが完治したので、塩浴&薬浴からいつもの環境へ戻していきます。
戻し先は、同品種のメダカが泳ぐ屋内水槽。
塩浴&薬浴中のメダカを、戻し先の水で「水合わせ」するため、必要なぶんだけ汲んでおきます。
2つの水に水温差がないことを確認。
水温差があると、せっかく回復したメダカが弱ってしまうから注意してね!
塩浴&薬浴中の水を2/3だけ排出。
少しゆっくりめの20分間隔で、3回に分けて戻し先の水を足していきます。
メチレン水を水槽に入れたくないので、移動に使う柄杓には、戻し先の水を汲んでおきます。
メダカをすくって柄杓へ。
柄杓の水ごと水槽に放てば、塩浴&薬浴からの戻しは完了です。
戻し先の水を使ってゆっくりと水合わせすることで、水質変化による負担を抑えつつ、塩浴&薬浴からいつもの環境へ戻すことができるよ!
追記
7日間の塩浴で必要になった岩塩は75g
以前「メダカブリーダ-監修」の岩塩を使っていましたが、毎月のランニングコストが割高でした。
こちらの岩塩を使うようになって、費用がずいぶん抑えられています
【最後に】水カビ病で瀕死のメダカを完治できた治療方法
水カビ病の治療には労力を要します。
とはいえ、ほとんどの病気の治療方法が、同じような流れです。
大切な一匹を病気で失わないためにも、ご紹介した治療方法をぜひご参考ください!
水カビ病の治療の流れを動画でご視聴いただけます