メダカの卵が孵化する日数について、「水温25℃で約10日」はよく目にするところ。
積算温度250℃が根拠となります。
しかし、これが本当に現場に適したものなのか、詳しい情報が見当たりません。
ということで「積算温度250℃」について、一度検証してみることにしました。
これを知っておくと、メダカ飼育の現場で孵化日数を計算するとき、より現実的な予測ができるようになると思います。
孵化するまでの日数を知るには、まず「平均水温」を知ることから!
メダカの孵化は積算温度250℃。
これを知ったとき、わかったようで、実のところよくわかっていませんでした。
詳しくはこちら
「積算温度」とは、ある期間における1日の平均温度を合計したもの。
ここで言う「ある期間」とは、卵が産まれてから孵化するまでの日数、「温度」とは水温のこと!
1日の平均水温が25℃だったとして、それが10日続いた場合、
積算温度=250℃(25℃✕10日)
この環境下でメダカの卵が産まれた場合、10日後に孵化することになります。
つまり、メダカの卵が孵化するまでの日数を知るには、「平均水温は何℃か?」を知る必要があるんだよね!
メダカ飼育の現場で「積算温度250℃」は意外と使いづらい
ヒーターで水温管理された屋内水槽であれば、平均水温は一目瞭然。
しかし、メダカを屋外で飼育する場合、水温は刻一刻と変化します。
そのような環境だと、まず定点的な水温確認から始めて、それをもとに平均水温を算出しないといけないよね
メダカ飼育の現場で「平均水温」は意外と把握しづらく、その結果、メダカの孵化に必要な「積算温度250℃」が上手く使えなかったりします。
屋外での簡単な平均水温の算出方法はこちら
メダカの孵化に必要とされる「積算温度250℃」は本当か?
今回の実験では、水温が一定でない環境に卵をおき、孵化した後で積算温度250℃がどれくらい信頼できるのかを検証してみます。
卵が孵化するまでの環境はこちら
- 小さな製氷皿に水道水を張る
- その中に発眼を確認できた卵を10コ入れる
- 製氷皿を置くのは水槽のLEDライトの上
- ライトの1日の点灯時間は14時間
- 水換えはせず水道水での足し水のみ
卵をLEDライトの熱で保温するため、ライトの点灯時と消灯時とでは、水温がまったく異なるよ!
すべての卵が孵化するまでの15日間の平均水温はこちらでした
- 点灯時の1日の平均水温26.4℃
- 消灯時の1日の平均水温21.0℃
ライト点灯・消灯時の水温詳細がこちら
消灯時の水温 | 点灯時の水温 | |
---|---|---|
1日目(11月14日) | 23℃ | 29℃ |
2日目(11月15日) | 23℃ | 29℃ |
3日目(11月16日) | 23℃ | 29℃ |
4日目(11月17日) | 23℃ | 29℃ |
5日目(11月18日) | 21℃ | 27℃ |
6日目(11月19日) | 21℃ | 27℃ |
7日目(11月20日) | 21℃ | 27℃ |
8日目(11月21日) | 21℃ | 27℃ |
9日目(11月22日) | 21℃ | 26℃ |
10日目(11月23日) | 21℃ | 25℃ |
11日目(11月24日) | 20℃ | 25℃ |
12日目(11月25日) | 20℃ | 24℃ |
13日目(11月26日) | 19℃ | 24℃ |
14日目(11月27日) | 19℃ | 24℃ |
15日目(11月28日) | 19℃ | 24℃ |
16日目(11月29日) | 19℃ | 24℃ |
15日間の平均 | 21.0℃(最低水温) | 26.4℃(最高水温) |
ここに注意
今回、積算温度250℃の信頼性を検証するため、事後的に「孵化するまでの全期間の平均水温」で計算しています
本来、孵化するまでの日数を知りたいとき、その時点での平均水温でざっくり計算することになるよ!
当時の気象条件がこちら
(11~12月)ライトの消灯は10時間/1日、点灯は14時間/1日なので、(21.0℃✕10時間+26.4℃✕14時間)÷24時間で15日間における1日の平均水温は24.2℃でした。
※ライトを点灯・消灯直後の水温変化は考慮しないものとする
メダカが孵化するまでの日数は、250℃(積算温度)÷24.2℃(1日の平均水温)で10.3日と予測できるね!
つまり、
- 孵化にかかる日数=10日と7時間
- 卵が産まれてから11日目
に孵化する計算になります。
では、経過状況をお伝えします。
メダカの卵が孵化するまでを実況リポート
では、いってみましょう。
1日目(11月14日)
今朝の7時30分ごろ、採取したばかりのメダカの卵。
卵が産まれたのは午前6時ごろ。
別のお皿に水道水を張りました。
お皿の卵をスポイトで吸い取って、、
硬くなったメダカの卵は、スポイトで吸い取っても傷ついたりしないよ!
詳しくはこちら
水道水を張ったお皿へ移動。
卵を入れたお皿を、水槽のLEDライトの上に置きます。
窓ガラス越しに日も差す環境です。
ライトの点灯時は、水温29℃でした。
消灯後しばらくすると23℃まで低下。
2日目
まだ発眼は見られません。
ライトを点灯して、しばらくすると水温29℃へ。
4日目
ついに発眼しました。
ちゃんと成長している証ですね。
5日目
本日より、急に寒くなってきた感じ。
ライト点灯時、水温は27℃でした。
かなり冷え込んできたので、深夜に水温チェック。
これまでライト消灯時は23℃だったのが、21℃に下がっていました。
6日目
本日、ここ最近ではかなりの冷え込み。
ライト点灯時、卵のお皿の水温は27℃でした。
ただの丸っこい卵ではなくなってきた感じ。
発生が順調なようです。
8日目
ライト点灯時、しばらく窓を開けていたので水温は26℃。
窓を開ける前は27℃でした。
だんだん、針子の姿がイメージできるように。
9日目
ライト点灯時の水温は26℃。
そろそろ孵化が始まりそうです。
気温低下が気になるので、夜中に水温チェック。
ライト消灯時、卵の水温は21℃でした。
10日目
ライト点灯の水温は25℃。
と、、ちょっと目を離した隙に、1匹の針子が泳ぎ回っているではありませんか!
ついに孵化ですね!!
1コ目の卵は、産まれてからおおよ9日での孵化でした。
11日目
朝、ライトを点灯する前の水温は20℃。
この日、残りの卵が孵化することはありませんでした。
一緒に産まれた卵なのに、経験上すごく早く孵化する針子が1~2匹はいるよ!
12日目
ようやく、もう3コが孵化しました。
産まれてから、11日と9時間での孵化。
14日目
さらにもう2コが孵化。
産まれてから、おおよそ13日と4時間での孵化ですね。
15日目
さらにもう2匹。
産まれてから、14日と8時間。
16日目
最後の2匹が、ようやく孵化してくれました。
産まれてから、15日と6時間ですね。
実験結果による考察
孵化するまでの予測はこちらでした
- 孵化にかかる日数=10日と7時間
- 卵が産まれてから11日目
実際の結果がこちら
孵化した個数 | 孵化するまでの所要時間 |
1コ | 9日(10日目) |
3コ(2~4コ目) | 11日と9時間(12日目) |
2コ(5~6コ目) | 13日と4時間(14日目) |
2コ(7~8コ目) | 14日と8時(15日目) |
2コ(9~10コ目) | 15日と6時間(16日目) |
10コの卵のうち、1コは1日以上早く、残り9コは1日以上遅れての孵化となりました。
ということで、実験結果による結論がこちら
- 積算温度250℃はメダカが孵化する目安にはなる
- ただし、予測日数を中心に前後に幅をもって備えるべき
- 1日の平均水温が25℃を下回る環境では、孵化が予測より大幅に遅れる可能性あり
今回の実験で結論づけられるのは以上です。
ただし、
- 毎日水換えする
- 水量が多い
- 適度な水流がある
- さらに強い光量
といった好条件下では、結果が大きく違ってくるかもしれません。
個人的には、積算温度250℃の予測をもとに、-2日~+5日ほどを想定してメダカの孵化に備えようと思うよ!
【補足】メダカの卵は温度変化があっても問題なし!
今回の実験では、水温が一定でなくともメダカの卵は孵化できることを確認できました。
LEDライトの上で管理したため、最大で6℃/1日の水温差が生じています。
ある程度の温度変化があっても、メダカの卵はちゃんと孵化できるということね!
水温8℃(冷蔵庫の中)が2日続いても問題ありません
【最後に】積算温度250℃をもとにメダカの孵化日数を計算してみた
メダカの卵が孵化するまでの日数を知りたいとき、「積算温度250℃」は目安となります。
ただし、1日の平均水温が25℃を下回るような場合、予測より大幅に遅れる可能性があるので注意してください。