メダカを飼い始めたころ、カルキ抜き剤を使っていました。
ただ、この液剤に含まれる「チオ硫酸ナトリウム」が、水質浄化のバクテリアなどに好ましくないことを知って、日光でカルキ抜きするように。
とはいえ、これまでアバウトにやってきたので、ちゃんとカルキ抜きできているのか、何日・何時間くらい日光をあてればカルキ抜きできるのか、実験で確かめてみました。
お住まいの地域における2つの注意点(日光によるカルキ抜き実験)
実験結果をお伝えする前に、お住まいの地域における2つの注意点があります。
- 残留塩素の濃度が異なる
- 紫外線の強さが異なる
前提条件が異なると、結果も違ってくると思われるので補足させてください。
1.残留塩素の濃度が異なる
お住まいの地域で残留塩素の濃度が異なります。
ちなみに現在、水道水の殺菌に使われているのは次亜塩素酸ナトリウム(液体)です。
ずっと以前は、次亜塩素酸カルシウム(粉)が使われていたよ
現在:次亜塩素酸ナトリウム=塩素
以前:次亜塩素酸カルシウム=カルキ
現在、水道水の殺菌に「カルキ」と呼ばれる「次亜塩素酸カルシウム」は使われていないため、「カルキ抜き」ではなく「塩素抜き」と呼ぶのが正しい表現と思われます。
当記事では、わかりやすいよう「カルキ抜き」と呼んでるよ!
水道水に含まれる残留塩素(水道水を消毒したあと残った塩素)の濃度は、お住いの地域で異なります。
水道水を日光でカルキ抜きするとき、残留塩素の濃度が異なると、カルキ抜きに要する時間も違ってくると思われるので注意してください。
2.紫外線の強さが異なる
お住まいの地域はもちろん、季節や時間帯でも紫外線の強さは異なります。
- 南に位置するほど紫外線が強くなる(札幌<鹿児島<那覇)
- 年間では4月~9月頃までが強い(冬<夏)
- 1日では正午を中心とした前後2時間が強い(10~14時)
各地域の紫外線データの確認はこちら
気象庁(紫外線に関するデータ)
水道水を日光でカルキ抜きするとき、紫外線の強さが異なると、カルキ抜きに要する時間も違ってくると思われるので注意してください。
「水道水をカルキ抜きするのは日光か?」という部分から、検証してみました。
なぜ、日光に当てると水道水のカルキは抜ける?
水道水を殺菌するためのカルキ(塩素)は、メダカに有害と言われます。
- エラが傷つく:呼吸困難になるおそれ
- 粘膜が剥がれる:病気にかかるおそれ
カルキ抜きしていない水道水でもメダカが昇天するとは限らないけど、バクテリアの影響なども考えると、やはりカルキ抜きするのがおすすめ!
現状、水道水に含まれる塩素とは「次亜塩素酸ナトリウム」のこと。
次亜塩素酸ナトリウムは紫外線を浴びると、
塩化ナトリウム + 酸素
に分解され殺菌効果を失います。
水道水をカルキ抜きしてくれるのは、厳密に言うと「紫外線」なんだよね!
ただし、当記事では「日光」と表現している箇所があります。
【実験】カルキ抜きしてメダカに使うには日光は何日・何時間?
水道水の残留塩素をチェックした試薬がこちら
残留塩素が存在すると、水がピンクに染まります。
実験を行ったのは10月中旬。
場所は福岡県の福岡市です。
紫外線の照射量、残留塩素の濃度ともに高めな地域。
蛇口をひねってすぐの水道水からは、やはりカルキが検出されました。
この水道水を2つの容器に汲み置きして、時間の経過によるカルキの抜け具合を確かめる実験。
容器は透明と黒があるので、どうせなら色の違いによるカルキの抜け具合も確かめてみることに。
実験の場はマンションのベランダです。
ベランダの方角が北北東のため、直射日光が差し込むのは早朝の2時間ほど。
ただし、手すり壁がガラスなので、コンクリートの壁が濃い日陰をつくることはないよ!
実験開始
実験を開始したのは12時20分。
薄曇りの天気でした。
気象庁)
天気による紫外線量の違い(参考:- 快晴:100%
- 晴れ:快晴とほぼ同じ
- 薄曇り:80~90%
- 曇り:60%
- 雨:30%
ただし曇りの日でも、雲の合間から太陽が差している場合、雲の散乱光も加わわって、快晴よりも紫外線の量が多くなるそうだよ
2つの容器に水道水を注ぎました。
容器の水をガラスコップですくって、カルキをチェック。
カルキの存在を確認できました。
このときの時刻は12時24分。
実験開始から5時間後
前回と同じく、2つの容器の水をガラスコップに汲みました。
カルキチェックの結果がこちら
左側が透明の容器、右側が黒い容器の水。
カルキの抜け具合は、透明の容器の方が断然早かったよ!
ただし、補足説明があります。
- 左側のコップの水は実際よりも透明に見えている(室内照明の関係か?)
- 直射日光にさらせる場合、透明と黒とで差が出るかは不明
今回の実験は、マンションのベランダということもあって、容器の側面から透過する紫外線量が大きく影響した結果、透明容器のカルキの抜け具合が早かったと思われます。
頭上を遮るものがない、太陽の真下で実験を行った場合、同じ結果になるとは限らないよ!
実験開始から19時間後(翌日)
実験開始の翌日の天気予報がこちら
8時近くになって、ようやくベランダ内に日が差し始めました。
実験開始から19時間後の9時25分、再びカルキをチェック。
カルキチェックの結果がこちら
着色加減がわかりやすいよう、左側に水道水を汲んだコップを置きました。
真ん中が「透明の容器」の水、右側が「黒い容器」の水です。
19時間が経っても、カルキは抜けきっていないよね
ちなみに当日の「日の出」「日の入」時刻がこちら
昨日も同じようなものなので、少なくとも7時間は紫外線を浴びたことになります。
とはいえ、今は9時25分なので、紫外線が強まる10~14時はこれからだよ!
この結果から、紫外線の最も強い夏場は別として、水道水のカルキを日光で抜くには、1日では足りないと考えた方が無難そうです。
実験開始から27時間後
天気は薄曇りで、間もなく日の入の時間帯。
実験開始から約27時間後の17時03分、再びカルキをチェック。
カルキチェックの結果がこちら
左側の透明の容器の水は塩素がほぼ抜けきっているようですが、黒い容器の水はほんのりピンクがかっています。
水道水を汲んだグラスを左側に置いて、2つの容器の水と透明度を比較してみました。
こうして見ると、透明の容器の水(真ん中)も、わずかにピンクがかっています。
完全には塩素が抜けきっていないんだろうね!
とはいえ、15時間ほど紫外線を浴びた「透明の容器」の水であれば、メダカに使っても問題ないレベル。
水道水の透明度と比較すると、右側の「黒い容器」の水がピンクなのは明確です。
15時間の紫外線を浴びたとはいえ、「黒い容器」の水はもう少しカルキ抜きすべきでしょう。
実験結果による考察
実験における特筆事項
- 1年のうち紫外線が最も強い夏場ではなかった
- 「紫外線量」「残留塩素の濃度」ともに、高めな福岡市での実験
- 薄曇りの天気
- 直射日光がほとんど差さないベランダでの実験
- 1日のうち紫外線が強まる10~14時を2日間でほぼ実施
実験結果による考察
- ベランダでのカルキ抜きには「透明容器」がおすすめ
- 夏場の直射日光なら早朝~夕方の1日でカルキは抜けそう(地域にもよる)
- 夏場以外は3日間かけてのカルキ抜きが無難
- 紫外線を30時間も浴びれば確実にカルキは抜けそう
ということで、季節や地域・カルキ抜きする場所をあれこれ考えず、確実に水道水をカルキ抜きしたいのであれば、3日間は日光にさらすのがおすすめ。
【最後に】メダカ用にカルキ抜き!日光は何日・何時間?
今回の実験では、目に見えない水道水の残留塩素を、しっかりと試薬で見える化。
その結果、紫外線による残留塩素の分解を確認できたとともに、日光に何日間くらいさらせば、メダカに使える水になるのかもわかりました。
あなたのお住いの地域・季節を考慮しつつ、日光によるカルキ抜きの日数・時間を判断するとき、今回の実験結果を一つの目安にしてね!